渋滞の“兆候”をデータで捉え、未然に防ぐ、次世代交通マネジメント
浜松市は、1世帯当たりの自動車保有台数が政令指定都市で最も多く、市民の移動の7割以上を自動車が担う、日本を代表する「クルマ社会」です。
しかし、その高い自動車依存度は、長年にわたり市を悩ませる二つの深刻な課題を生み出しています。
一つは、中心部における「慢性的な交通渋滞」です。浜松駅を中心とした放射状の道路では、旅行速度が20km/hを下回る区間も多く、市民生活や経済活動の大きな足かせとなっています。
そしてもう一つが、政令市ワースト1という不名誉な状況が続く「交通事故の多発」です。事故の約7割が、渋滞を主な原因とする追突や出会い頭の衝突であり、この二つの課題は分かちがたく結びついています。
これまで、私たちは、道路改良といったハード対策やソフト対策として平成27年より「浜松市交通事故ワースト1脱出作戦」を開始し、約5割の交通事故削減を達成しているものの依然としてワースト1が継続している状況であり、新たな課題解決の手法を検討する必要があります。
参考情報・資料
◎浜松市における政令指定都市人口10万人当たりの人身交通事故
平成27年の「浜松市交通事故ワースト1脱出作戦」開始から事故件数は約5割減少しており、交通安全対策の推進により一定の効果が出ているものの、依然として、ワースト1が継続しており、脱却が急務。
(人身交通事故の事故類型は、一部渋滞を起因とする「追突」と「出会い頭」による事故が全体の約7割を占めている状況)
従来、上記課題に対しては、道路や交差点の改良事業が必要となり、その実施にあたり予算・時間がかかる状況
◎浜松市のみちづくり計画
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/documents/1325/kadai.pdf
市民一人ひとりが“スマート”な移動を選択することで、街全体の交通を最適化していく、しなやかで持続可能な交通社会です。
その実現のため、私たちはプローブデータを単なる“数字の羅列”としてではなく、市民にとって価値ある「生きた情報」へと変換し、スマートフォンアプリなどを通じて、「どこが、いつ、どれくらい混むのか」という現状だけでなく、「どのルートが今、最もスムーズか」という最適な選択肢を、誰もが直感的に理解できる形で提供する。
この情報提供により、市民はこれまで無意識に選んでいた渋滞ルートを自ら避け、少し遠回りでも快適な道路を選択したり、出発時間を調整したりといった、自発的な行動変容を起こすようになります。
一人ひとりの小さな選択が、結果として中心部の渋滞を緩和し、追突事故などのリスクを大幅に低減させます。
これまでのハード対策やソフト対策に加えて、市民の力で交通課題を解決していく。時間がかかっていた渋滞・事故対策に、「情報の力」で早期解決の道筋を拓くこと。それが、私たちの実現したい理想の姿です。
ETC2.0車載器を搭載した車両から収集するプローブテータ
各主要道路の区間ごと、又は時間ごとの通過速度等を確認することは可能な状況
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